2020 バンド部門の講評(加茂フミヨシ 審査員)

加茂フミヨシ 審査員

審査をさせていただくにあたり、まずは皆さん全員にレベルが決勝になったときに向上しているな!ということをまず最初にお伝えさせていただきます。
頑張りましたね !! そのうえで、この高校生の部活動の場というのも皆さんの大切な学びだと思いますので、僕としては皆さんの今後に向けてのコメントを出させていただきたいと思います。

自分の仕事は音楽を教えるという仕事です。
学びの世界には今、STEAMという言葉が登場しました。
STEAM(スティーム)とは、 Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM(ステム)」に、さらにArts(芸術)を掛け合わせた学び方です。私は、これからの社会で生きる方達にはこの「音楽も含めた”芸術”」こそが最も大切なことだと思っています。
どうしてかというと、芸術には答えがありません。「こうすれば良い」というものは本来無いんです。歴史的な名曲を是非ネット配信などで聴いてみてください。Youtubeでも沢山聴けます。
そうすると、歴史的な名曲というのは必ずしも「セオリー」が当てはまっていないことがわかると思います。

ポピュラーミュージックの世界は、コード進行や楽器のフレージングに関する解析がだいぶ進んでいて「なんとなく表面的に気持ちよく聴ける曲の作り方」というのはだんだん明らかになってきています。
でも、考えてみてください。皆さんは賞をもらうことが全てでしょうか?順位がつくことだけが全てでしょうか?
それよりも、音楽や芸術という「ものづくり」というのは、どのように主体的に皆さんが取り組んで工夫をして「答えが無いものに取り組み、どうやって作ったか」ということが大切なのではないかと思います。

Science(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学)は 様々な学習方法がありますが、コピーペースト可能な部分もあります。でも、Arts(芸術)はコピーペーストが難しいです。皆さんが「なぜ、そう感じたのか?」ということについてをこのコンテストの結果に関わらず、大切にしてほしいと思います。
それこそが、これからのAI(人工知能)が発達した社会の中で、皆さんがAIと共に共存するために大切なことだと思います。AIは皆さんから何も奪いません。そうではなくて、皆さんがAIをどう活用していくかということが大切です。
その価値観を育てるには、このMusic Daysですよ!!
軽音楽部で仲間と一緒に曲を作って演奏し、そしてこのコロナ禍の中で皆さん表現方法を工夫しましたね!
そのことが最も大切だと私は思います。

音楽というのは、舞台に上がって、ぎゅうぎゅうに人が集まって演奏するしかないものだと思っていた。でも、そうじゃなくてもこれだけ沢山の表現が皆さん、できたんですよ!すごい事だと思いませんか。これからもそういうことを大切に、音楽を演奏して、作っていってください。
是非、今回皆さんの作品をアップしたYoutubeの関連動画から世界を見てください。とんでもない演奏をするスーパー・キッズが世界のどこかに必ずいます。私も日々研究しています。
皆さんと直接バンドクリニックなどでお会いできる日を楽しみにしています。

加茂フミヨシ